【准看試験対策】糖尿病の病態・1型と2型の違い・三大合併症を徹底解説!臨床で役立つ観察ポイント&練習問題付

今回は、内科学や看護学、そして臨床現場のどこに行っても必ず出合う「糖尿病(Diabetes Mellitus: DM)」について徹底解説します!

糖尿病はただ「尿に砂糖が出る」病気ではなく、「全身の血管がボロボロになっていく病気」です。病態の仕組みから、試験に出るポイント、そして現場での観察のコツまで一気に整理していきましょう!

1. 糖尿病の病態:インスリンの作用不足

血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を唯一下げることができるホルモンが、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島B(β)細胞から分泌されるインスリンです。
糖尿病は、このインスリンの分泌量が減ったり(分泌低下)、効き目が悪くなったり(インスリン抵抗性)することで、慢性的な高血糖状態が続く疾患です。

【1型糖尿病と2型糖尿病の違い】試験超頻出!

  • 1型糖尿病(絶対的不足): 自己免疫現象などにより膵β細胞が破壊され、インスリンがほぼ出なくなる。若年発症が多く、インスリン注射が命の維持に必須(生存に不可欠)。
  • 2型糖尿病(相対的不足): 遺伝的要因に過食・運動不足・肥満などの生活習慣が重なって発症。日本の糖尿病患者の約90%以上を占める。

2. 【超重要】リハビリ現場の最前線から!糖尿病のリアルな影響と観察ポイント

ここからは、管理人(ST)と、私の仲間であるOT(作業療法士)、PT(理学療法士)のリハビリ職それぞれの視点から、臨床現場で見る糖尿病の恐ろしさと、看護・介護職に知っておいてほしい観察のコツをお伝えします!

口腔・嚥下の専門家:ST(言語聴覚士)の視点

【現場での体験談:脳卒中と未治療糖尿病の深い関係】
臨床現場で摂食嚥下(えんげ)リハビリを行っていると、脳卒中で倒れた患者さんのバックグラウンドに「長年未治療だった2型糖尿病」があるケースに非常に多く遭遇します。

高血糖状態が続くと全身の血管が脆くなり、ある日突然、脳梗塞や脳出血を引き起こしてしまうのです。糖尿病はサイレントキラー(静かなる殺し屋)です。「症状がないから放置していた」という声を聞くたび、早期からのコントロールと患者教育の大切さを痛感します。

💡 ここを観察して!:
糖尿病の方は唾液分泌が減り、口腔内環境が悪化しやすい(歯周病も重症化しやすい)です。お口の中が清潔か、乾燥していないか(口渇のサイン)の観察は、STとしても、誤嚥性肺炎予防の観点からも非常に重要です!

運動・動作の専門家:PT(理学療法士)の視点

【現場での体験談:運動療法と低血糖、そして無痛性心筋梗塞】
PTは患者さんと一緒に身体を動かすため、糖尿病の改善に欠かせない運動療法の専門家でもあります。しかし、インスリンや血糖降下薬を使っている患者さんのリハビリは、常に「低血糖」との隣り合わせです。

リハビリ中に急に冷や汗をかいたり、生あくびを連発したり、ふらついたりする患者さんがいれば、直ちにリハビリを中止し、ブドウ糖摂取などの対応をします。この「気づき」が命を救います。

💡 ここを観察して!:
最も怖いのは、神経障害による「無痛性心筋梗塞」です。通常なら激痛が走る心筋梗塞でも、糖尿病の方は痛みを感じず、リハビリ中に急に心不全症状(息切れ、チアノーゼ)だけが現れることがあります。「痛くない」から安全ではない、という意識が現場では不可欠です!

生活・ADLの専門家:OT(作業療法士)の視点

【現場での体験談:フットケアとQOL(生活の質)の維持】
OTは、患者さんが自分らしく生活するための支援をします。糖尿病の患者さんにとって、三大合併症である「しめじ(神経障害・網膜症・腎症)」は、ADL(日常生活動作)を劇的に低下させる原因になります。

視力が低下すれば着替えや食事が不自由になり、神経障害で手足の感覚が麻痺すれば、靴擦れや怪我に気づかず、最悪の場合は壊疽(えそ)で足を切断することになります。OTとしては、足の観察(フットケア)や、感覚麻痺があっても安全に生活できるための工夫(自助具の活用など)を指導します。

💡 ここを観察して!:
看護・介護職の皆さんは、日々の着替えや入浴介助の際に、患者さんの手足に小さな傷や発赤、爪の異常がないか、必ず確認してください。痛みを感じない患者さんに代わって、「皮膚の異常」を見つけるのが、皆さんの重要な役割です!

2. 糖尿病が身体に与える影響(症状と合併症)

高血糖が続くと、身体には以下のような深刻な影響が現れます。

① 高血糖による「3多症状」

  • 多尿(たにょう): 溢れ出た糖が尿と一緒に水分を引っ張っていく(滲透圧利尿)。
  • 口渇・多飲(こうかつ・たいん): 多尿によって体が脱水状態になり、喉が渇いて水をたくさん飲む。
  • 体重減少・疲労感: 糖をエネルギーとして細胞に取り込めず、脂肪やタンパク質を分解するため。

② 三大合併症(細小血管障害)語呂合わせ:「し・め・じ」

細い血管がダメージを受けることで起こる、糖尿病特有の3大合併症です。

  • 「し」:神経障害(しんけいしょうがい)… 手足の痺れ、痛みの麻痺(怪我に気づかず壊疽へ)。最も早期に発現。
  • 「め」:目(網膜症:もうまくしょう)… 成人の失明原因の上位。定期的な眼底検査が必須。
  • 「じ」:腎症(じんしょう)… 人工透析導入のCause(原因)第1位!蛋白尿から始まる。

③ 大血管障害 語呂合わせ:「え・の・き」

太い血管の動脈硬化が進むことで起こります。

  • 「え」:壊疽(えそ・足病変)… 足の血流障害+神経障害で足の組織が腐敗。切断に至ることも。
  • 「の」:脳卒中(脳梗塞など)
  • 「き」:虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)… 神経障害があると胸痛を感じない「無痛性心筋梗塞」が起こりやすく危険!

臨床でのフットケアと低血糖観察
看護・介護の現場で絶対に覚えておきたいのが「フットケア」「低血糖発作」です。
糖尿病の患者さんは神経障害で「痛みの感覚」が鈍くなっているため、靴擦れや小さな傷、爪切り時の深爪から細菌が入っても気づかず、あっという間に壊疽(えそ)を起こして足切断になることがあります。入浴時や着替え時の「足の観察」は看護職の重要任務です!

また、インスリンや経口血糖降下薬を使っている患者さんが「冷や汗・生あくび・手の震え・ふらつき」を訴えたら、すぐに低血糖(70mg/dL未満)を疑い、ブドウ糖を補給する素早い対応が求められます!

3. 試験によく出題される重要キーワード&数値

  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー): 過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映する。食事の影響を受けない。基準値は6.0%未満(特定保健指導レベルは5.6%以上、治療目標値は7.0%未満など)。
  • 空腹時血糖値: 126mg/dL以上で糖尿病型。正常値は110mg/dL未満。
  • 食事療法: 糖尿病治療の基本!エネルギー適切な摂取。
  • 運動療法: インスリン抵抗性を改善する。※ただし、血糖コントロールが極端に悪い時や眼底出血がある時は禁忌
  • 低血糖の対応: 意識がある場合は「ブドウ糖(10g)や清涼飲料水」を即座に経口摂取。意識がない場合はブドウ糖の静注。

4. 実力試し!練習問題10選(糖尿病編)

問1:血糖値を低下させる唯一のホルモンと、それを分泌する臓器の組み合わせで正しいのはどれか。
1. グルカゴン — 肝臓
2. インスリン — 膵臓
3. アドレナリン — 腎臓
4. チロキシン — 甲状腺

解答:2

【解説】インスリンは膵臓のランゲルハンス島B(β)細胞から分泌され、唯一血糖値を下げる働きを持ちます。

問2:1型糖尿病の特徴について正しいのはどれか。
1. 日本の糖尿病患者の9割以上を占める
2. 主に生活習慣の乱れが原因である
3. 膵β細胞の破壊によりインスリンが絶対的に不足する
4. 食事療法のみで完治する

解答:3

【解説】1型糖尿病は自己免疫反応などにより膵β細胞が破壊され、インスリンが絶対的に不足するため、生涯にわたるインスリン療法が必要です。

問3:糖尿病の「三大合併症(細小血管障害)」に含まれないものはどれか。
1. 糖尿病性神経障害
2. 糖尿病性網膜症
3. 糖尿病性腎症
4. 脳梗塞

解答:4

【解説】三大合併症は「し・め・じ(神経障害・網膜症・腎症)」です。脳梗塞は大血管障害に分類されます。

問4:過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映する検査項目はどれか。
1. 空腹時血糖値
2. HbA1c(ヘモグロビンA1c)
3. 尿糖
4. 尿ケトン体

解答:2

【解説】HbA1cは赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示し、過去1〜2ヶ月の長期的な血糖コントロール状態を反映します。

問5:人工透析が必要となる原因(原疾患)の第1位はどれか。
1. 慢性腎盂腎炎
2. 糖尿病性腎症
3. 腎細胞がん
4. 多胞性腎病

解答:2

【解説】新規透析導入の原因疾患の第1位は「糖尿病性腎症」です。

問6:低血糖の初期症状として正しいのはどれか。
1. 発汗(冷や汗)・手の震え
2. 徐脈
3. 高熱
4. 多尿

解答:1

【解説】低血糖状態になると交感神経が緊張し、発汗(冷や汗)、手指の震え、動悸、空腹感などの症状が現れます。

問7:意識がはっきりしている糖尿病患者が低血糖症状を起こした場合の第一選択の対応はどれか。
1. インスリンを注射する
2. ブドウ糖を口から摂取させる
3. 水分を大量に飲ませる
4. 横になって安静にさせるだけにする

解答:2

【解説】意識がある場合は、素早く血糖値を上げるためにブドウ糖(10g程度)やブドウ糖を含む清涼飲料水を経口摂取させます。

問8:糖尿病患者のフットケア指導として適切なのはどれか。
1. 靴擦れを防ぐため少し大きめの靴を履く
2. 深爪にならないようまっすぐに爪を切る
3. 湯たんぽで足を直接温める
4. 素足で過ごすことを勧める

解答:2

【解説】巻き爪や深爪による傷を防ぐため、爪はスクエアカット(まっすぐ切る)にします。神経障害で熱さを感じにくいため、湯たんぽでの低温火傷にも注意が必要です。

問9:糖尿病患者の運動療法が「原則禁止(禁忌)」となる状態はどれか。
1. 肥満傾向がある
2. 血糖値が安定している
3. 増殖糖尿病網膜症による眼底出血がある
4. 2型糖尿病である

解答:3

【解説】進行した網膜症(眼底出血の恐れがある場合)や極端な高血糖、深刻な心疾患がある場合、運動により血圧が上昇して症状を悪化させるため運動は禁忌です。

問10:糖尿病の典型的な「3多症状」に含まれないのはどれか。
1. 多尿
2. 多飲(喉の乾き)
3. 多食
4. 多汗

解答:4

【解説】高血糖による典型症状は「多尿・多飲・多食」です。多汗は含まれません。