【准看試験対策】嚥下障害の病態・5段階・身体への影響を徹底解説!リハビリ3職種の体験談&練習問題10選

今回は、高齢者看護・脳血管障害・神経難病などで必ず出題される重要テーマ「嚥下障害(Dysphagia)」について徹底解説します!

試験では、「摂食・嚥下の5段階」や「誤嚥(不顕性誤嚥含む)と誤嚥性肺炎」、「スクリーニングテスト(水飲みテストなど)」が頻出です。病態の仕組みから、認知症発症時の身体・摂食への影響、そして臨床現場での評価・ケアのコツまで一気に整理していきましょう!

1. 嚥下障害の病態と特徴

嚥下障害とは、食物を口に取り込み、咀嚼して咽頭、食道を経て胃へ送り込む一連の過程(摂食・嚥下)のいずれかの段階が阻害された状態を指します。

【絶対暗記!】摂食・嚥下の5段階

  • ① 先行期(認知期): 食べ物の形・量・温度を視覚や嗅覚で認識し、取り込む準備をする段階。(※認知症で阻害されやすい!)
  • ② 準備期(咀嚼期): 食べ物を口に取り込み、かみ砕いて唾液と混ぜ合わせ、飲み込みやすい「食塊」を作る段階。
  • ③ 口腔期: 舌を使って、作った食塊を口の中から「咽頭」へ送り込む段階。(随意運動)
  • ④ 咽頭期: 軟口蓋が上がって鼻腔への逆流を防ぎ、喉頭蓋が閉じて気道を防御しながら、食塊を食道入口部へ送り込む段階。(不随意の嚥下反射。※最も誤嚥が起きやすい!)
  • ⑤ 食道期: 食道の蠕動運動により、食塊を胃へ送り込む段階。(不随意運動)

【特徴的な症状とスクリーニング検査】

  • 誤嚥: 食べ物や唾液、胃内反流物が誤って気管内に入り込むこと。
  • 不顕性誤嚥(サイレントアスピレーション): むせ(咳反射)を伴わずに気づかないうちに気管へ流入する誤嚥。高齢者や脳卒中慢性期に多く、誤嚥性肺炎の最大原因となります。
  • 湿性嗄声: 発声時に「ガラガラ」「ゴロゴロ」とした水気が混じったような声になる状態(声帯付近に唾液や食物が停滞しているサイン)。
  • 反復唾液飲テスト(RSST): 30秒間に唾液を何回飲み込めるかを測定(3回未満は嚥下障害の疑い)。
  • 改訂水飲みテスト(MWST): 冷水3mlを口腔内に注ぎ、飲み込みとむせ・呼吸状態を観察するテスト。

2. 認知症を発症すると身体・嚥下にどんな影響が発生するのか?

認知症を発症すると、脳の認知機能低下に伴い、全身の身体機能および摂食・嚥下機能に大きな影響を及ぼします。

  • 先行期(認知期)の障害による失食・食べこぼし: 「目の前のものが食べ物だと分からない(失認)」「スプーンの使い方を忘れる(失行)」ため、自力で口へ運べなくなります。また、口に食べ物を入れたままフリーズして飲み込まなくなる(食べ込み障害)も発生します。
  • 姿勢保持機能の低下と筋力低下: 体幹バランスが崩れて前傾・後傾姿勢となり、頭部が体幹に対して不適切な位置になることで、誤嚥リスクが跳ね上がります。活動量低下に伴い廃用症候群(全身の筋力低下)が進行します。
  • 咳反射(防衛運動)の減弱: 脳の変性により、異物が気管に入った時に排出しようとする「むせ・咳」の反射が弱まり、無症状のまま重篤な**誤嚥性肺炎**へ移行しやすくなります。
  • 拒食・異食行動: 認知機能障害や妄想から食事を拒絶したり、ティッシュやボタンなど食べ物以外のものを口に入れてしまう「異食」のリスクが生じます。

3. リハビリ3職種の現場体験談&臨床アドバイス

臨床の最前線で脳卒中や嚥下障害の患者さんと向き合うST・PT・OTの目線から、具体的な評価とケアのコツをお伝えします!

摂食・嚥下・言語の専門家:ST(言語聴覚士)の視点(脳卒中の現場から)

【現場での体験談:脳卒中直後の急性期評価とサイレントアスピレーション】
脳卒中(脳梗塞・脳出血)を発症した直後の患者さんは、延髄の急性期障害や意識障害によって嚥下反射が消失・遅延しています。現場で最も恐ろしいのは、咳を全くしない「不顕性誤嚥(サイレントアスピレーション)」です。
一見普通に飲み込んでいるように見えても、食事後に声を出すと「ゴロゴロ」と濡れたような湿性声音になり、夜間に高熱を出して誤嚥性肺炎を発症されるケースを何度も経験しました。

💡 ここを観察・アドバイスして!:
食事前後の「声質チェック(ガラガラ声になっていないか)」と「頸部聴診(喉に雑音が聞こえないか)」を必ず実施してください!食形態(とろみ調整水やゼリー食)の調整と、一口量を少なくしてしっかり2回飲み込む(交互飲み・空嚥下)の指導が非常に有効です。

姿勢・運動・呼吸の専門家:PT(理学療法士)の視点(脳卒中の現場から)

【現場での体験談:脳卒中片麻痺による姿勢崩れと誤嚥リスク】
脳卒中で片麻痺が残った患者さんは、車椅子やベッド上で体が麻痺側に傾き、顎が上がった(頚部伸展)姿勢になりがちです。首が上を向くと気管が開いて食道への路が狭くなり、飲み込んだものが一気に気管へ流れ込んでしまいます。
「嚥下訓練をしているのに誤嚥する」という場合、原因は喉ではなく『姿勢の保持ができていないこと』にあるケースが驚くほど多いです。

💡 ここを観察・アドバイスして!:
食事の姿勢は「足底をしっかり床につけ、体幹を起こし、顎を軽く引いた姿勢(頚部屈曲位)」を作りましょう!顎を引くことで気道が狭まり、喉頭蓋が気管を覆いやすくなって誤嚥を防げます。麻痺側にクッションを挟んで体幹を安定させる介入が臨床で即効性を持ちます!

生活・ADL・環境調整の専門家:OT(作業療法士)の視点(脳卒中の現場から)

【現場での体験談:手運動麻痺と食行動・自立度の維持】
脳卒中後の上肢麻痺や高次脳機能障害(半側空間無視など)があると、膳の片側にある食べ物に気づかなかったり、食器を口まで運ぶ途中でこぼしてしまったりします。これにより食事が進まず、栄養低下や摂食意欲の減退につながります。
全介助にしてしまうと「咀嚼する・飲み込む」という脳の準備動作(先行期)が働かなくなり、かえって誤嚥しやすくなるという悪循環に陥ります。

💡 ここを観察・アドバイスして!:
可能な限り自力で食べられるよう、すべり止めマットの敷設、太柄スプーンや柄が曲がる食器などの「自助具」を活用してください!また、視界に入りやすい位置に食器を配置し、一口食べるごとに「次はお味噌汁ですね」と声をかけて認知を促すアプローチが効果的です!

4. 試験に出る!嚥下障害の重要キーワード&数値

  • 顎引き位(あごひきい / 首前屈位): 誤嚥を防止するための基本姿勢。気管入口部を狭め、喉頭蓋の閉鎖を補助する。
  • 頸部回旋(横向き): 健側(麻痺のない側)に向いて飲み込む、または麻痺側に向いて咽頭腔の麻痺側を潰す手技。
  • 食後30分〜1時間の座位保持: 食後の胃食道逆流による誤嚥を予防するため、食後すぐに横にならず上半身を起こしておく。
  • 口腔ケア: 誤嚥性肺炎の予防において最も重要な介入。口腔内の常在菌が唾液とともに気管へ流入するのを防ぐ。

5. 実力試し!練習問題10選(嚥下障害編)

問1:摂食・嚥下の過程において、食べ物の形や量を認識し、口へ運ぶ準備をする段階はどれか。
1. 先行期
2. 準備期
3. 口腔期
4. 咽頭期

解答:1

【解説】食物を目や匂いで確認し、食べ物として認識する段階を「先行期(認知期)」といいます。認知症患者で特に障害されやすい段階です。

問2:摂食・嚥下の段階のうち、誤嚥が最も発生しやすいのはどれか。
1. 先行期
2. 準備期
3. 咽頭期
4. 食道期

解答:3

【解説】「咽頭期」は喉頭蓋が倒れて気道を閉鎖し、食塊を食道へ送る反射段階であり、この反射の遅れや閉鎖不全によって誤嚥が起こります。

問3:むせ(咳反射)を伴わずに、唾液や食物が気管へ流入する状態を表す用語はどれか。
1. 顕性誤嚥
2. 不顕性誤嚥
3. 嘔吐反射
4. 嗄声

解答:2

【解説】咳などの自覚的症状を伴わない誤嚥を「不顕性誤嚥(サイレントアスピレーション)」と呼び、気づかないうちに誤嚥性肺炎を引き起こす危険があります。

問4:嚥下障害のある患者に対する食事姿勢として、誤嚥を防止するのに最も適切なのはどれか。
1. 顎を軽く上げた姿勢
2. 顎を軽く引いた姿勢(頚部屈曲位)
3. 完全に仰臥位(平床)
4. 体幹を麻痺側に傾けた姿勢

解答:2

【解説】顎を引く姿勢(頚部屈曲)をとることで、咽頭と気管の角度が変化し、気管への誤嚥を物理的に防ぐ効果があります。

問5:嚥下障害の簡易スクリーニングテストである「反復唾液飲テスト(RSST)」において、異常(疑い)と判断される30秒間の空嚥下回数はどれか。
1. 6回未満
2. 5回未満
3. 3回未満
4. 1回未満

解答:3

【解説】RSST(反復唾液飲テスト)では、30秒間に喉頭隆起の挙上を伴う唾液飲み込みが3回未満の場合、嚥下障害が疑われます。

問6:食事直後のケアとして、胃食道逆流や誤嚥を予防するために最も適切な介入はどれか。
1. 直ちに完全平床で睡眠をとらせる
2. 食後30分〜1時間はアップライト姿勢(座位・半座位)を保つ
3. すぐに激しい背部叩打を行う
4. 水分を大量に飲ませて胃へ流し込む

解答:2

【解説】食後にすぐ横になると胃内容物が食道へ逆流し、誤嚥性肺炎の原因となるため、食後30分〜1時間は上半身を起こした状態(30度以上のファウラー位や座位)を保持します。

問7:片麻痺を伴う脳卒中患者の食事介助における食事の配置やアプローチとして正しいのはどれか。
1. 必ず麻痺側から一口ずつ口に入れる
2. 食事は健側の口角付近に運び、健側で噛ませる
3. むせ込み予防のため全例で全介助を行う
4. 水分は一切与えない

解答:2

【解説】片麻痺がある場合、感覚や運動機能が保たれている「健側」の口腔内に食物を入れることで、適切な咀嚼と食塊形成を促します。

問8:誤嚥性肺炎の予防において、最も基本かつ効果的な看護ケアはどれか。
1. 食前の激しい運動
2. 口腔ケアの実施
3. 毎食後の解熱鎮痛薬の服薬
4. 厳格なベッド上安静

解答:2

【解説】誤嚥性肺炎の多くは口腔内の細菌が唾液や食物とともに気管へ入ることで発症します。丁寧な「口腔ケア」で口腔内細菌数を減らすことが最大の予防策です。

問9:食事中に患者の発声が「ガラガラ」「ゴロゴロ」とした湿った声(湿性声音)に変化した場合に疑われる状態はどれか。
1. 声帯の麻痺による嗄声
2. 喉頭・声帯付近への食物や唾液の停滞・残留
3. 気管支ぜんそくの発作
4. 消化不良

解答:2

【解説】湿性声音(湿った声)は、喉頭蓋や声帯の周辺に残留物や唾液が溜まっているサインであり、そのまま気管へ流れると誤嚥につながります。

問10:認知症患者の摂食障害の特徴として適切なものはどれか。
1. 咽頭期の反射のみが局所的に障害される
2. 先行期(認知期)の障害により食べ物であることの認識が困難になる
3. 味覚が完全に消失する
4. 誤嚥のリスクが全くなくなる

解答:2

【解説】認知症では、目の前のものが食べ物であるか判断できない(認識障害)や、食べ方を忘れる(運動機能以外の失行)といった「先行期」の障害が強く現れます。