【准看試験対策】高次脳機能障害の病態・特徴を徹底解説!身体・生活への影響&ST・PT・OT体験談まとめ

今回は、脳卒中(脳梗塞・脳出血)や頭部外傷の後遺症として非常に頻出する「高次脳機能障害」について詳しく解説します!

高次脳機能障害は、手足の麻痺とは異なり「外見からは障害が見えにくい(見えない障害)」という特徴があります。試験では**「4大主要症状(記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害)」や「失語・失行・失認の鑑別」、「臨床での関わり方・安全配慮」が頻出です。病態から臨床での多職種(ST・PT・OT)の視点まで一気に整理していきましょう!

1. 高次脳機能障害の病態と特徴

高次脳機能障害とは、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や頭部外傷、低酸素脳症などによって脳が損傷を受け、言語・記憶・注意・思考・感情などの「高次の脳機能」に障害が生じた状態を指します。

【試験超頻出!】高次脳機能障害の4大主要症状

主要症状具体状態・症状試験でのキーワード
① 記憶障害新しいことが覚えられない(前向性健忘)、昔のことが思い出せない(逆向性健忘)、約束や置き場所を忘れる。前向性健忘、見当識障害、メモの活用
② 注意障害集中が続かない、周囲の刺激に気を取られやすい、複数の作業を同時に処理できない、見落としが多い。全般性注意障害、半側空間無視(後述)
③ 遂行機能障害計画を立てる・順序立てて行動する・効率よく作業を進めることができない。予想外の事態に対応できない。前頭葉損傷、順序立てた手順書・指示
④ 社会的行動障害感情のコントロールが効かない(脱抑制・易怒性)、欲求を抑えられない、意欲低下(アパシー)、執着。脱抑制、抑鬱・アパシー、環境調整

【差がつく!】局所症状(失語・失性・失認)

  • 失語症(Aphasia): 言語の受容器官や発声器官に問題がないにもかかわらず、「聞く・話す・読む・書く」能力が障害される。
    • 運動性失語(ブローカ失語): 相手の言うことは理解できるが、自分からスムーズに話せない(自発語の低下)。前頭葉のブローカ野損傷。
    • 感覚性失語(ウェルニッケ失語): 滑らかに話すが内容が意味不明(語語流暢・言い間違いが多い)。相手の言葉が理解できない。側頭葉のウェルニッケ野損傷。
  • 失行症(Apraxia): 麻痺や感覚障害がないにもかかわらず、運動・動作の目的通りの遂行ができない(例:着衣失行、観念失行)。
  • 失認症(Agnosia): 感覚器(視覚・聴覚・触覚)自体は正常なのに、対象物を認識・把握できない。
    • 半側空間無視(USN): 主に右頭頂葉損傷(左半身麻痺)により、左側の空間に存在する対象に気づけない。転倒・衝突の重大な原因!

2. 高次脳機能障害が身体・行動・生活に及ぼす影響

高次脳機能障害は脳の認知・指令機能の障害であるため、直接的・二次的に身体や行動面へ大きな影響を及ぼします。

  • 転倒・転落リスクの急増(危険認識の欠如と半側空間無視): 「自分は麻痺していない」「一人で歩ける」と思い込む(病態不機・病相失認)ことで、危険な離床を試みたり、左側の障害物(車椅子のフットブレーキ、ベッド柵)に気づかず衝突・転倒を起こします。
  • 摂食・嚥下動作の混乱(食べ進め障害・誤嚥): 目の前にある食事に集中できない(注意障害)、食事の手順が分からなくなる(失行・遂行機能障害)、左側の食事を残す(半側空間無視)といった問題が生じ、誤嚥や栄養低下を引き起こします。
  • 廃用症候群(アパシー・自発性低下による身体機能低下): 意欲低下(アパシー)によって一日中ベッド上で過ごす時間が増え、筋力低下、関節拘縮、褥瘡、心肺機能低下などの廃用症候群が急速に進行します。
  • 睡眠障害と介護者(家族)の精神的疲弊: 昼夜逆転、夜間不穏、暴力・暴言(感情障害・脱抑制)により、身体的・精神的な疲弊が家族や看護・介護スタッフに蓄積しやすくなります。

3. リハビリ3職種の現場体験談&臨床アドバイス

脳卒中後に高次脳機能障害を呈した患者さんに対し、ST・PT・OTがどのような視点で臨床に関わっているのかをご紹介します!

ST(言語聴覚士)の視点:脳卒中後の失語症・全般性注意障害・コミュニケーショントラブル

【現場での体験談:コミュニケーションのすれ違いと失語症】
脳卒中後、ウェルニッケ失語症を呈した患者さんを担当した際、患者さんは流暢にお話しされるため、一見すると普通に会話が成り立っているように見えました。しかし実際は相手の指示内容(「飲み込む前に『ごっくん』してください」など)をほとんど理解できておらず、うなずきながらも誤嚥を起こしてしまうケースがありました。
また、注意障害によって雑音がある食堂では集中して食事が摂れず、一口量が多くなって窒息しかける場面もありました。

💡 ここを観察・アドバイスして!
言われたことに「はい」と返事をしていても、真に理解しているとは限りません!「文字カード」「イラスト・絵カード」「身振り手振り」を併用し、1度に伝える指示は『1つだけ(ワンサークル・ワンメッセージ)』に絞りましょう。また、食事やコミュニケーションの際は静かな環境を作る環境調整が安全確保の鍵です!

PT(理学療法士)の視点:左半側空間無視・病相失認による危険行動と動作獲得

【現場での体験談:左半側空間無視と車椅子転倒ヒヤリハット】
右脳出血により左半身麻痺と著しい「左半側空間無視」を呈した患者さん。PTでの歩行・車椅子移乗訓練時、ご本人は「左側もちゃんと見えている、一人で立ち上がれる」と主張(病相失認)されますが、左側の車椅子フットブレーキをかけ忘れたまま立ち上がろうとしてバランスを崩し、転倒しそうになる事故が頻発しました。

💡 ここを観察・アドバイスして!
左半側空間無視がある患者さんには、「左を見てください」と口頭で言うだけでなく、患者さんの右側からアプローチして注意を引いた後、意識的に左側へ視線を誘導する促しが必要です。また、ブレーキ忘れを防ぐため「視覚的な目印(赤いテープを貼る)」や「声かけのルーティン化」で動作安全を保障しましょう!

OT(作業療法士)の視点:遂行機能障害・着衣失行と日常ADL再獲得へのアプローチ

【現場での体験談:着衣動作のパニックと作業の順序立て】
脳卒中後に「着衣失行」と「遂行機能障害」を呈した患者さん。毎朝の着替え時、ボタンを掛け違えたり、洋服の袖に足を通そうとして混乱し、イライラして服を破りそうになる場面がありました。自尊心が傷つき、「もう着替えなんてやらない」と閉じこもりがちになってしまいました。

💡 ここを観察・アドバイスして!
遂行機能障害や失行がある場合、すべての工程を患者さん自身に任せるとパニックになります。洋服をあらかじめ「着る順番(下着→シャツ→上着)」に重ねて置いておくことや、工程を1つずつ区切って声かけする「手順の単純化(代行と自立の境界見極め)」が、患者さんの自己効力感を高めるポイントです!

4. 試験に出る!重要キーワード・評価尺度

  • MMSE(ミニメンタルステート検査): 認知機能障害・記憶障害の簡易評価スクリーニング。30点満点中23点以下で認知機能低下疑い
  • HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール): 30点満点中20点以下で認知症・認知機能低下疑い
  • ブローカ失語 vs ウェルニッケ失語: ブローカ=運動性・発語障害(運動野近くの前頭葉)、ウェルニッケ=感覚性・理解障害(聴覚野近くの側頭葉)。
  • 半側空間無視(USN): **右頭頂葉損傷**(左半身麻痺に伴う)で頻出。左側の対象・空間を見落とす。
  • 病態不機(病相失認): 自身の麻痺や障害を「問題ない」と認識・理解できない状態。事故の原因となる。

5. 実力試し!練習問題10選(高次脳機能障害編)

問1:高次脳機能障害の主要症状のうち、新しい出来事が覚えられない状態を指すものはどれか。
1. 遂行機能障害
2. 注意障害
3. 記憶障害
4. 社会的行動障害

解答:3

【解説】新しい出来事を記憶・保持・再生できない状態は「記憶障害(特に前向性健忘)」に分類されます。

問2:前頭葉損傷に伴い、物事の計画を立てて順序よく実行することが困難になる障害はどれか。
1. 遂行機能障害
2. 運動性失語
3. 観念運動失行
4. 聴覚失認

解答:1

【解説】計画立案、目標設定、順序立てた行動が困難になるのは「遂行機能障害(実行機能障害)」です。前頭葉損傷で代表的です。

問3:ブローカ失語の特徴として正しいものはどれか。
1. 発音は滑らかだが言葉の意味が通じない
2. 他人の言葉の理解は比較的保たれるが自発話が困難である
3. 聴覚自体が麻痺している
4. 視覚的に文字が認識できない

解答:2

【解説】ブローカ失語(運動性失語)は、他者の言語理解は比較的保たれますが、自分から言葉をスムーズに発することが困難(非流暢)になります。

問4:ウェルニッケ失語の損傷部位として正しいものはどれか。
1. 前頭葉の運動野近く
2. 側頭葉の言語野(ウェルニッケ野)
3. 小脳
4. 延髄

解答:2

【解説】ウェルニッケ失語(感覚性失語)は側頭葉にあるウェルニッケ野の損傷で生じ、言語の理解が著しく障害されます。

問5:右頭頂葉損傷によって生じやすく、左側の空間に存在する刺激に気づけない障害はどれか。
1. 着衣失行
2. 左半側空間無視
3. 視野狭窄
4. 義肢失認

解答:2

【解説】右半球(特に頭頂葉)の損傷により、反対側である左側の空間を認識できなくなる状態を「左半側空間無視(USN)」と呼びます。

問6:自身の運動麻痺や障害が存在することを認識・理解できない状態を何と呼ぶか。
1. 失認症
2. 病相失認(病態不機)
3. アパシー
4. 相貌失認

解答:2

【解説】自身の麻痺や病気であることを客観的に認識できない状態を「病相失認(病態不機)」と言います。無謀な離床や転倒の大きな要因になります。

問7:社会的行動障害に含まれる症状として正しいものはどれか。
1. 易怒性・脱抑制
2. 視力低下
3. 筋固縮
4. 運動麻痺

解答:1

【解説】社会的行動障害には、感情コントロールが効かない「脱抑制」「易怒性(おこりっぽさ)」、意欲低下(アパシー)、執着などが含まれます。

問8:認知機能障害のスクリーニング検査であるMMSE(ミニメンタルステート検査)のカットオフ値(低下疑い)はどれか。
1. 30点満点中28点以下
2. 30点満点中23点以下
3. 30点満点中15点以下
4. 30点満点中10点以下

解答:2

【解説】MMSEは30点満点であり、23点以下で認知機能低下(認知症疑い)と判定されます。(※改訂長谷川式HDS-Rは20点以下)。

問9:運動麻痺や感覚障害がないにもかかわらず、普段使用しているスプーンや衣服を指示通り正しく扱えない状態はどれか。
1. 失語症
2. 失行症
3. 失認症
4. 記憶障害

解答:2

【解説】運動麻痺や理解障害がないのに、目的を持った一連の動作・工具使用ができない状態を「失行症」と呼びます。

問10:半側空間無視のある患者に対する看護・介助の対応として適切なものはどれか。
1. 無視のある側(見落とし側)をすべて代行し、本人の動作を禁止する
2. 安全に配慮した上で、意識的に無視側へ注意を促す環境調整を行う
3. 声かけは一切行わない
4. 健側を拘束する

解答:2

【解説】半側空間無視では、目印(赤いテープ)を配置したり、会話時に自発的に無視側へ視線を向けさせる促し・声かけを行うなど、安全に配慮した環境調整と促しが適切です。